日経トレンディネットでの連載「”盛る”の科学」の新しい記事が公開されました。今回は「ガールズターゲットビジネスの極意」を、プリクラのトップシェア企業フリューのガールズトレンド研究所所長稲垣涼子さんに教えていただきました。「今なぜ”インスタ映え”か」も、ひも解いています。15回にわたって連載してきた「”盛る”の科学」最終回。
WEBサイト:日経トレンディネット
連載名:”盛る”の科学
タイトル:【第15回】ガールズターゲットビジネスの極意
公開日:2017年11月08日
URL:https://trendy.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/120900027/103000017/
シンポジウム「シンデレラテクノロジー」開催いたしました。これまで私がこじんまりと抱えてきたテーマに、多くの人に関与していただく、初めての機会をいただきました。いただいた刺激を今後の発展に活かしていきます。
日時:2016年1月9日13:00-16:30
場所:東京大学本郷キャンパス福武ラーニングシアター
登壇者:稲垣涼子さん(フリュー)、華岡千尋さん(ソシオネクスト)、鎌田安里紗さん(ファッションモデル)、藤堂高行さん(アーティスト)、久保友香(東京大学)
WEB:https://www.hal.t.u-tokyo.ac.jp/symposium-cinderella-technology/
Facebook:>>https://www.facebook.com/events/1103030629721781/
トークセッションでは、せっかく事前に皆さまからご質問をいただいたにもかかわらず、お答えできなかったことが心残りでした。登壇者の皆様から、後日いただいたお答えを、下記で紹介いたします。
→ 稲垣涼子さんからのご返答
伊勢丹新宿店4階で開催されるファッションジャーナリスト生駒芳子氏ディレクションによるイベント「プレミアム・コスプレ」におけるトークショーに参加させていただきます。
タイトル:「プレミアム・コスプレって何?」
出演:生駒芳子氏、ミーシャジャネット氏、久保友香
日時:3月14日(土)2時〜
場所:新宿店本館4階=センターパーク/ザ・ステージ#4
URL:http://www.miguide.jp/wfma2015/cosplay/
2015年3月11日から17日、伊勢丹新宿店本館4階で開催される「プレミアム・コスプレ」とは、
ファッションジャーナリスト生駒芳子氏ディレクションによる、
大人のための「アガる・盛る・デコる」をテーマにしたイベントです。
伊勢丹4階は大人の女性のためのフロア。
なんとシャネルやヴァレンティノのすぐ近くに、
女の子たちから最も人気あるフリュー株式会社のプリクラも設置されています!
日本で、女の子たちのためだけに発達してきた「盛る」技術、「盛る」文化のレベルの高さは、世界で突出しています。
それが私の探求のテーマ「シンデレラテクノロジー」。
「プリクラ」はその代表です。
今回のイベントは、それを、
「子供たちだけに楽しませるのはもったいない!」
「大人が使うため、上質に、本物志向に、プレミアムに改良するには?」
と、具体的に考えることができる機会になりそうです!
→ ショートリポートはこちら
YOMIURI ONLINE「プリントシール機が米上陸」に関する記事に、研究者の立場からコメントさせていただきました。
WEBサイト:YOMIURI ONLINE
タイトル:プリントシール機が米上陸、見送られた機能とは
URL:http://www.yomiuri.co.jp/economy/20150202-OYT1T50091.html
昨秋、プリントシール機(通称「プリクラ」)トップシェアのフリュー株式会社が、海外向けに発表したマシンは、「デカ目」処理でもなく、「女の子限定」なデザインでもなく、表面的な「カワイイ」文化を売りにしたものではありませんでした。
20年間、日本国内だけで発達してきた「プリクラ」の最大の特徴は、「”別人”にならない範囲で最大に”変身”できる」世界には類を見ない、繊細な画像処理技術だと、私は考えています。
日本の特殊な「カワイイ」文化は、いくら頑張ってもサブカルチャー。一方、日本の優れたエンジニアの方々が、日本の「女の子たち」のためだけに発展させてきた、この高度な技術は、世界で普遍的なメインカルチャーになる可能性があると思います。日本が「子供の楽園」だからこそ生み出された技術が、世界から評価されることに期待します。
第19回日本顔学会大会(フォーラム顔学2014)において、フリュー株式会社ガールズトレンド研究所との共同研究の内容を発表しました。
テーマ:女性コミュニティにおける女性顔の魅力指標の研究−プリントシール機開発現場における経験知の分析をもとに−
著者:久保友香†1,稲垣涼子†2,新本祐一†2,相澤清晴†1(†1東京大学,†2フリュー株式会社)
日時:2014年10月26日
場所:昭和大学 旗の台キャンパス
ガールズトレンド研究所は、プリントシール機のトップメーカーであるフリュー株式会社内の、女子高生・女子大生の「感性」からトレンドの調査・研究を行う研究機関です。共同研究では、女の子たちが目指す「盛れてる」顔と、それを支援する技術についての、科学的な解明を行っています。
第19回日本顔学会大会の発表では、女の子たちが目指す「盛れてる」顔が、これまで心理学分野を中心に明らかにされてきた「魅力顔」とは異なることを発言し、議論を交わすことができました。
画像技術関連企業によって構成されている次世代画像入力・ビジョンシステム部会の見学会が、プリントシール機メーカーのフリュー株式会社にて開催されました。私は、開催に向けた準備に携わり、当日は『シンデレラ・テクノロジー』をテーマに講演させていただきました。
日時:2014年9月22日13:00-17:30
場所:フリュー株式会社 本社
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1995年に誕生し、17年以上もの間、その時々の女子高生から支持され続けてきたプリクラ機。プリクラ機の中核にあるのは、ユーザの理想とするイメージを作る「技術」。プリクラメーカーはどのようにして、女子高生の理想を「技術」に変えてきたのか?プリクラメーカーでトップシェアを持つフリュー株式会社への取材から明らかになったことを中心に、全4回にわたってお送りしている。
第4回は、プリクラメーカートップシェアのフリュー株式会社で、プリクラ事業を統括する新本祐一氏へのインタビューを中心に紹介する。「技術」を普及させるため、「ファッション」のモードの手法が取り入れられていることが特徴的である。
フリュー株式会社
常務取締役/業務用ゲーム事業部事業部長
新本祐一氏
■ 技術の新しい“モード”を作る
第3回では、フリューがグループインタビューなどで呼ぶのは、平均的な女子高生というよりも、「プリクラハッカー」と呼べるほど、プリクラの内部まで知り尽くすような、いくらか偏った女子高生であることを紹介した。全国の隅々まで設置されるプリクラのマーケットを知るために、平均的な女性の調査をしなくて良いのだろうか?そのヒントとなりそうな発言を、新本氏から聞いた。
「109よりも、パリコレのようなやり方ができないかと考えている」
これは、マーケットに合わせて、時間刻みでショーウィンドウを変えていくような「マーケットイン」のやり方ではなく、”モード”を創り、新しいマーケットを創りだす「マーケットプル」のやり方を示しているのだろう。
フリューでは、既存のマーケットに合わせるわけでないから、平均的な女性を調査する必要がないのだろう。それよりも、新しいマーケットを作るためには、先導的な、プリクラハッカーのような偏った女子高生との関わりを、重要視した方がよいと考えているのではないか?
新本氏が、パリコレのようなやり方を意識するきっかけになったのは、先に述べた、企画の女性の「CHANELのような機械」という発想に始まった『LADY BY TOKYO』の成功によると言う。
「“今後のプリクラはこうあるべき”という新しい切り口での提案を行うことができた。この成功により、そういった企画の検討をより意識するようになっている。ユーザの意見や要望を聞いて作っても、既存の機械の改善だったり、良いところの寄せ集めのような機械ができるだけ。企画者達は、“こういう機械を作ったら、ユーザは絶対についてきてくれる!”と自信を持てる、時代を変えるような新しい提案ができるように常に考えています。」
LADY BY TOKYO
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1995年に誕生し、17年以上もの間、その時々の女子高生から支持され続けてきたプリクラ機。プリクラ機の中核にあるのは、ユーザの理想とするイメージを作る「技術」。プリクラメーカーはどのようにして、女子高生の理想を「技術」に変えてきたのか?プリクラメーカーでトップシェアを持つフリュー株式会社への取材から明らかになったことを中心に、全4回にわたってお送りしている。
第3回は、フリューで行われるグループインタビューや、アミューズメントマシン業界展示会を取材し、わかったことを紹介する。フリューとプリクラユーザとの関係に注目をした。
■ ディープなグループインタビュー
第2回で紹介したようにフリューでは、初期は、プリクラの開発を全て男性技術者のみで行っていたが、2005年~2006年頃から、女性が企画者として開発をリードするようになっていった。フリューでは、かつてから週に1回以上の頻度で、女子高生を集めたグループインタビューを行っていた。しかし、女性が開発をリードするようになって、グループインタビューの意味が大きく変化していったと、プリクラ部門を統括する新本氏は言う。
「男性が企画を行っていた時のグルインは、女子高生の言葉を、そのまま技術に翻訳するような作業だった。しかし女性が企画するようになって、女子高生の意見や評価は聞くけれど、それはあくまで確認作業であって、結局、企画者が自分の考えで作るようになった。」
グループインタビューの様子を、実際に見せてもらった。そこには、驚く光景があった。グループインタビューに集まるのは、平均的な女子高生達かと予想していた。なぜなら、フリューのプリクラ機は全国の隅々まであるゲームセンターに設置され、その全ての女性を知るための、マーケット調査をするのだと思っていたからだ。しかし、そこに集まっていたのは、平均的とは言い難い女子高生達だった。
グループインタビューの内容は、開発段階の機械と、既存の機械と比較するというもの。フリューの企画者が近よってたずねると、彼女達は、新しいプリクラが印刷した写真をじっと見つめながら、「眉の濃さは、前の○○だと普通に化粧すると消えてしまうくらいだったけれど、今回のは消えなくて良い」「前の△△は、つけまつげの向きがはっきり見えなかったけれど、今回のは見えるから良い」と次々と評価をしていった。そして企画者と女子高生との話題は、私もついていかれないほど、細部の評価へと続いていった。
彼女達はプリクラの画像処理を知り尽くしている。画像処理に不足があれば、自分の化粧で補完する方法も知っている。まるで画像処理のプログラムまで理解している「プリクラハッカー」だ。彼女達は、フリューの企画者が離れている間は、ずっと手鏡に向かっている。鏡を見て、前髪をなおし、化粧をなおし続ける。自分の見え方に、特別に意識が高い人達のようである。
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1995年に誕生し、17年以上もの間、その時々の女子高生から支持され続けてきたプリクラ機。プリクラ機の中核にあるのは、ユーザの理想とするイメージを作る「技術」。プリクラメーカーはどのようにして、女子高生の理想を「技術」に変えてきたのか?プリクラメーカーでトップシェアを持つフリュー株式会社への取材から明らかになったことを中心に、全4回にわたってお送りしている。
第2回は、フリューでプリクラ事業を統括する新本祐一氏へのインタビューを紹介する。フリューの流れを変えた出来事について、お話をうかがった。
フリュー株式会社
常務取締役/業務用ゲーム事業部事業部長
新本祐一氏
■ 男性だけのプリクラ開発
現在、フリュー株式会社(以下、フリュー)で、プリクラ事業部門の統括をする新本氏は、元はオムロンの研究者であった。
「長い間、オムロン中央研究所で、光センサを用いた様々なシステムの研究開発に携わっていた。しかし、もっとユーザに直接喜んでもらえる技術の開発に関わりたいと思い、エンタテインメント事業部への移動を希望した。」
新本氏がエンタテインメント事業部に移動したのは2002年のこと。その後すぐの2003年、ナムコから初めての顔認識機能を持つプリクラが生産されて大ヒットするが、オムロンからは大きなヒット商品は生まれていなかった。
新本氏は移動直後からプリクラ機の企画を担当した。フリューのプリクラの開発は、企画部門と技術部門によって構成され、当時は機種ごとに、リーダーである企画者1人、技術者が複数つく、シンプルな体制だった。フリューでは、当時から今でも、新機種を1年に3回、春夏冬に発売する。新本氏は春発売の機種のリーダーを、その後、約3年間つとめた。当時のオムロンのプリクラ事業を振り返ってもらった。
「当時のプリクラの開発は、全て男性で行っていた。オムロンの企業文化を引き継いで、社員自体が技術系の男性ばかりだったので、プリクラに関わるのも必然とそうなっていた。技術者は、自慢の技術を詰め込んだ機械を作りがちになる。例えば、2005年に作った『ファンキーハイ』いう機械は、床の高さが変えられたり、撮影する時に風を吹かすことができたり、新しい機能をたくさんつけた機械だった。しかし売れなかった。2005年は、夏の機械も冬の機械の売上が悪く、このままでは会社がなくなるのではというくらいの危機になった。」
そこで新本氏は流れを変えるべく、担当した2006年春発売予定の『姫組』という機械では、企画開発の方法をそれまでと全く変えることに挑戦した。
「技術よりもコンセプトを大事にする方法を探った。それまでの企画開発は、まずバラック(仮に立てる機械)を作り、それをユーザに見せて意見をもらったら、一度壊して、再び改良したバラックを作り、またユーザ見せて、と作っては壊しを何度も繰り返して、最終形を作り上げていっていた。コンセプトは、作りながら決まっていくという感じだった。しかし『姫組』では、作る前にコンセプトを考え抜き、その過程ではユーザの意見ももらうが、コンセプトを決めて作り始めてからは、一切ユーザの意見は入れず、最終形まで作り上げることにした。機械に世界観を持たせたかった。結果的に『姫組』で、それまでの売上低迷を抜け出すことができた。この生産工程が、現在にも続いている。」
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