「プリクラ」と「自撮り」のビューティーハッカー 大賀彩貴さん


既製品を切り刻み、自作するつけまつげ

彼女が理想を追求するために、「既成」のシステムでは満足せず「自作」するのは、スマートフォンを使った「情報」的手段だけではなく、化粧のような「物質」的手段もある。

彼女の写真における「目」へのこだわりは、化粧にも続く。化粧で「目」を理想的にする効果的な道具では、代表的なものに「つけまつげ」がある。つけまつげは、今では女性の広い年齢層に普及し、つけているかわからない自然なデザインから、存在感のあるデザインまで、多様な種類がある。例えば、ディスカウントショップのドン・キ・ホーテは、今、最もつけまつげの品揃えが多いと考えられているが、常に200以上種類くらいの商品がある。多くの人は、その中から好みや用途に合わせて選んだデザインを、「ひとつ」つける。

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しかし彼女に、今日使っているつけまつげは何かと尋ねてみると、次のように答えた。「上は、ベースは『ダイヤモンドラッシュ』の“ドーリー”と、目尻は『ドーリーウィンク』の“No.4”で、下は目尻に『ドーリーウィンク』の“No.12”を半分。たれ目に見せる時は、最近は、これがてっぱん。」つまり彼女は、複数の商品を組み合わせて使っているのだ。

組み合わせるのを、実際に見せてもらった。まず、ピンセット、はさみ、ビューラーと道具をそろえた。そしてピンセットでベースに使う“ドーリー”をとり、目に実際に乗せて、鏡を見た。「私は目頭から3mmの所から乗せます。それで目尻の方の足りない部分の長さを確認します。」一度はずして左手に持ち、今度はピンセットで目尻用の短い“No.12”を取って、ベースと一部が重なるように組み合わせた。そこでビューラーを手にとり「真ん中の部分だけカールをつけます。たれ目に見せたい場合は、目尻側はカールをつけません」と言って、形を作った。それを手の上に乗せて色々角度から見ながら、「中心にもう少し束感があっても良いかも」と言って、ピンセットで別の“ドーリー”を取り、作りかけのまつげの上で少しずつ場所をずらしながら様子を見て行った結果、はさみで一部を切り出して、中心部分に重ねた。「こういうのが最初から売ってれば買うのに、売っていない」と言った。合計3つのつけまつげをカスタマイズして、オリジナルのつけまつげを作っているのだ。

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自作したつけまつげはそのままケースに入れておき、「朝はちょんちょんとつけるだけ」と言う。新しい組み合わせのアイデアは、「雑誌などを見ながら、この人のまつげはこの辺の量が多いから、真似してみよう」など参考にしながら出てくるという。材料は「ドンキを頻繁にチェックしていて、新しい商品を見つけたらとりあえず一応試す。」今、ドン・キ・ホーテに置いている商品も、「ほぼ全部試したことある」と言う。「新しいのを買ったらすぐに、組み合わせを考えてみる。」

つけまつげだけではない。通称「ネイルをする」と言うが、爪の上にアクリル樹脂で作った人工爪を付け、そこに装飾をすることは、今、女性に広く普及している。多くの人はネイルサロンに行き、1万円前後の費用でネイリストに作ってもらうが、彼女はそれも自作する。「道具は“ジェル(光硬化樹脂)”のランプはどこでも売っているし、“スカルプ(アクリル樹脂)”ならばそれも必要ない。材料は100円均一ショップやドンキで十分揃うし、渋谷や恵比寿のプロ用のお店に行くと、パーツがもっと大量にあって楽しい。」彼女はそれを作るのが好きだといい、「夜中に新しいパーツに挑戦したくなって、朝になってしまうことも多い。」と言う。

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