「プリクラ」と「自撮り」のビューティーハッカー 大賀彩貴さん


プリクラのプログラムを解読!?

彼女がプリクラを使うところを、実際に見せてもらった。プリクラでは、1回料金を払うと6回シャッターが切られる。彼女はそれに合わせて着実に顔とポーズを決めていった。出力された写真はひとつ残らず、彼女のかわいらしさをよりひき立てる顔に決まっていた。「画像処理をしているのだから当然」と考える人もいるかもしれないが、例えば私などが利用すればそうはならない。元の顔よりは、目が大きく、小顔にはなるが、彼女の写真のようにはひき立たない。6枚の中には目をつぶってしまうものまである。

「プリクラで“盛れる”には練習が必要」と彼女は言う。プリクラで小顔に見せるため、顔の前に手を添えたり、顔と首の間にすき間を作ったり、といったテクニックは、私もすでに聞いたことがあった。彼女はとくに「目の見開き具合」を重要視する。「目は大きく見せたいけれど、あまり見開くと、(黒目を大きく見せる)カラコンをしていても、上と下に白目が余ってしまう。そうならないぎりぎりの見開き具合にする。」

「それをシャッターが切られるタイミングで作る。瞬きをしないと不自然になるから。だけどプリクラの機種によって、タイミングがだいぶ違って、早い機械、遅い機械がある。長年の経験で『今だ』という瞬間はだいたいわかるけれど、それでもやはり新機種を初めて使う時には、目をつぶってしまう確率が高い。だから練習が必要なんです。」

使うところを見せてもらった機械は、『GIRS PHOTOGRAPHER』という、彼女が、今、一番気に入っているという機種ということだ。彼女は、同じ機種を繰り返し使うことにより、シャッターのタイミングをつかんでいる。すなわち、プリクラを動かすコンピュータプログラムの内容をつかんでいるのだ。26万人の中から選ばれるほどの彼女のプリクラ写真は、ただ、画像処理に頼って出来上がったものではない。プリクラ写真に記録される“自分らしさ”とは、そういう努力を表すのではないか。

彼女は積極的に、街中で行われている雑誌のスナップ写真の撮影や、テレビの公開番組の観覧に、参加している。そういうカメラにうつる時、「すぐに目をつぶってしまうので嫌になる。プロの方々は、いつ撮られても決めた顔ができるので、うらやましい」。「プリクラ」のカメラのタイミングをつかむ訓練をしてきた彼女は、「雑誌」や「テレビ」のカメラのタイミングもつかもうとしている。

P1060650

P1060686

purikura1

P1060750

saki-program-5

1361875205477_s


1 2 3 4 5 6

page top