日本はアイメイク先進国~つけまつげデザイン日欧比較~
「目を強調する」ことの先進国
つけまつげが日本で特別に発展したのには、日本の女性による「目を強調すること」への強いこだわりが影響していることがわかる。しかしそれは、もともと目が小さく、平面的な顔を持つ日本人女性の特殊な願望であり、普遍的でないのではないと思うかもしれない。
今回の調査中、ヨーロッパの街を歩く女性たちの顔をまじまじと見てみた。髪の毛が黒色でない女性も、ほとんどの女性が、まつげは黒色にしている。まつげが髪の毛よりも黒い人もいるだろうが、多くの人が手を加えて、黒色に変えていると考えられる。
ドイツのドラッグストアmullerの化粧品売り場の販売員の女性に尋ねてみた。彼女も髪は金色である。聞いてみると、まつげも元は金色だと言っていた。
「今はマスカラを塗っています。つけまつげもよく使いますよ。今日は朝早かったから、アイラインとマスカラで黒くしていますが。」
まつげを黒く、目の際を黒くしようとすることは、普遍的なようだ。もともと真っ黒のまつげを持つ日本人は、まつげの加工に要する労力を、比較的使っていない方の人種なのかもしれない。
とくにオーストリアのドラッグストアでは、まつげを染めるための商品“Wimpern färben”が必ず販売されている。チューブにクリーム状で入っている。ドイツ語の化粧書によれば、専用のシリコン板の上にまつげをなで付け、その上にクリームを塗って時間を置き、染めるという手順で利用するようだ。ただ、各店舗で扱っているのは1~2種類の商品しかないので、今、どれほどの人がそれを利用しているかはわからない。しかし、使うのが“Wimpern färben”であっても、マスカラであっても、まつげを黒くするための作業に、日本人より多くの労力をかけているかもしれないと考える。
逆に、日本人は髪の毛を、茶色や金髪に染めることが多い。髪の毛が完全な金色でない西洋人も、金色に染めることがよくあると聞く。日本人も西洋人も目指す顔は同じ方向で、髪の毛は金色、まつげは黒色なのだ。髪の毛とまつげの色は基本的に同一色なのに変えたいということは、「変身願望」も普遍的ということだ。
目の話に戻すと、まつげを黒くし、「強調させたい」という欲望は、世界標準であることがわかる。今回の調査中、オーストリア、ドイツ、フランスのドラッグストアで必ず販売されていた商品の中に、フランスの化粧品メーカー「L’Oréal」の「MISS MANGA」というマスカラがあった。まつげをしっかりと黒くし、目を大きく見せる効果のある商品である。目を強調させられる商品であることを、「日本の漫画キャラクター」ということにより、伝えているのだろう。
>> http://www.loreal-paris.co.uk/missmanga/
「目を強調させたい」というのは、世界中の女性の普遍的な欲求である。そしてそういう視点から世界を眺めたとき、日本は、技術的にも、文化的にも、世界で最も先進的な国であると確信する。日本の優れた技術が供給されるのを待っている女の子が、世界にたくさんいるのではないかなと、私は思う。




