オンライン・アイデンティティのクリエーター 中川友里さん


1. ファッションブロガーの生態

世界のファッションの発信地はパリあるいはミラノやニューヨークであり、日本はそれを受けとめるだけの国と考えられてきた。しかし、ファッション情報を雑誌だけが支配していた時代からインターネットの時代へと移り、少し状況が変わり始めている。

今、パリのファッション業界の人が、ネット上で日本のストリートスナップをチェックすることがあるとも言われている。その被写体に多いのが、日本のファッションブロガーの女性たちである。その一人、中川友里さんも、その状況を意識している。
 

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「私は昔から、ファッションの新しいものがどこから発信されるのか探るのが好きなのですが、近年、それが日本の原宿だったりするので、おもしろいんです。世界的なアーティストさんが、原宿のとても小さなお店を訪れたり。東京の原宿や渋谷のファッションは、すごく可能性があると思っています。」

ファッションブロガーとはどんな存在か。本職の片手間にブログを書いているような人々ではない。

「基本的には、今流行っているもの、これから流行るものなどをいち早く把握して、ブログやSNSで教えてあげるのが役割だと考えています。私は東京にいるからいろいろなブランドのショーや展示会などに行かせていただけるけれど、それに行かれない方もいるので、そういう方たちと、できるだけ早く共有することを目指しています。夜遅くまでパーティーなどあると眠くなるけれど、それでもとにかく寝る前にブログだけは書きます。」

彼女のブログは下記のURLから見ることができる。
 
http://ameblo.jp/darayunya/

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ファッションブロガーに明確な定義はないが、タレントや読者モデルがファッションに関して書くブログとは区別される。タレントや読者モデルは、その日のコーディネートや、その日の出来事などだけを投稿することもある。一方ファッションブロガーは、投稿ごとに読者にとって有益な情報を提供することを意識していることが多い。ブログ以外の媒体を通してすでにファンがいる人々と、ブログのみで0からフォロワーを集めてきた人々との違いがある。

そしてファッションブロガーの活動は、ブログを書く事だけではない。その他のクリエーション活動をし、ブログでの情報発信能力を活かして、社会に発信する。

「ブロガーの仲間たちは、何かしらのクリエーターを兼ねています。歌手だったり、DJだったり、WEBデザイナーだったり、アクセサリーデザイナーだったり。1つ2つではなく、多数の顔をもっていることが多いです。年齢は10代から30代くらいまで幅広いけれど、皆、まるで子供のように素直に表現したいままに生きている人たち。色々な世界を見ていて、色々な分野の知識を持っていて、そういう人たちと一緒にいると刺激がいっぱいあって、本当に楽しいんです。」

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そう言う彼女も、ブロガーから、DJや、アクセサリーのデザイナーへと、活動の幅を広げている。しかし彼女の土台にある活動はモデルである。通常、モデルと言えば、クライアントである企業の指示通りにこなす職業という印象が強いが、彼女のモデル活動は創造的だ。その様子を次のページより詳しくお伝えする。


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