世界に日本の「プリクラ文化」を伝えるブロガー サマンサさん


■ 「かわいい」だけでは世界で受けない

 現在、日本のプリクラは、世界でどのくらい知られているのかと聞いてみました。

「普通の人は知らないと思う。例えば道を歩いている人に『プリクラを知っている?』と聞いても、皆『知らない』と答えると思います。よくチャイナタウンに遊びに行く人とか、学校の部活でアニメ部に入っているとか、特別に日本文化に興味ある人ならば、知っているけれど。でも今、そういう人が今、増えているのだと思います。」

 海外では、日本やアジアの文化に興味を持つ「特別な人」と、そうでない「普通な人」と、大きく2つに分かれるようです。2003年に来日する前のサマンサさんはどちらだったのでしょうか。

「私は日本に来るまで、日本には全く興味がなくて、漫画やアニメも一度も見たこともなかったし、プリクラも知りませんでした。大学卒業後、バックパッカーで世界を回って、最初タイに住もうと思っていたのですが、トイレが汚くて嫌になりました。偶然、日本はトイレが綺麗だと聞いて、日本にやってくることになったんです。面白いもので、来日してすぐ、同じプログラムで知り合ったアメリカ人の友人は、小さい頃から日本の漫画やアニメが好きで、日本に憧れてやってきた人でした。けれど実際に日本に来てみると、憧れとリアルは違ったようで1年で帰ってしまいました。偶然やってきた私は、日本にもう10年目で、プリクラに熱中しています。」

 かつてのサマンサさん同様、イギリスに住む彼女の友人たちも、日本文化に対して「普通な人」であるようです。彼女の友人達にプリクラを見せると、どのような反応があるのかと聞いてみました。

「プリクラ写真を見せても、『よかったね』と子供をあやすような反応が返ってくるだけ。プリクラはどうしても、小さな子供の遊びに見えるみたい。日本では大人が子供に憧れ、海外では子供が大人に憧れる。イギリスはとくにそれが強い。だからイギリスでは、大人も子供も、子供っぽいものにあまり惹かれないんです。」

「“カワイイ文化”は日本のもので、かわいすぎるものは海外の人には受けないと思います。だけどプリクラも最近、とくに(プリクラメーカーの)フリューのプリクラなどは、筐体のデザインも、らくがきのデザインも、大人っぽいものに変わってきています。そういうものであれば、海外の人にも、フォトブースの延長として受け入れやすいと思います。海外の人の方も、かわいいものに興味を持つ人が少しずつは増えているから、お互い歩み寄っていくのかもしれません。」

 彼女は、そのような、プリクラに対する日本人と海外の人の見え方の違いを強く意識しながら、プリクラを世界に伝えるためのブログを書いています。

「らくがきの機能の、詳細な内容が正しく伝われば、海外の大人も興味を持つと思っています。私のブログでは、できるだけ詳細に伝わるように、筐体の中の様子や、使う時のプロセスなどを、写真や動画を使いながら、詳しく説明しています。本当は、ペンの絶妙な選び方など、マニアな部分まで伝えたいくらいです。」

 プリクラのことをより詳しく世界の人に伝えるため、彼女には、次の計画があると言います。

「今では、スマートフォンのアプリにも、プリクラと似たように、カメラで撮影して、画像処理で加工するようなものがたくさん出てきています。アプリならば、海外の人でもダウンロードできるから、それと比較しながらプリクラを説明するとわかりやすくなるのではないかと考えています。だから、私のプリクラブログで、アプリのレビューも始めようと計画しています。例えば、プリクラメーカーの辰巳電子産業が提供しているアプリは、らくがきの機能は、プリクラと全く同じです。そのアプリは海外の人でも使えるので、それと比較しながら説明すれば、プリクラのことを伝えやすいです。例えば、アプリを使ってもらった上で、『プリクラは写真がもっときれいだ』と言えば、だいぶ伝わります。他に、フォトブースとの比較で説明することも考えています。」

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